貞操権侵害の慰謝料の請求方法や注意点 ~長文~

「貞操権侵害」で慰謝料請求できるケース,慰謝料の相場,請求方法や注意点について

・ネットで知り合った相手と結婚前提につきあっていたのに,実は既婚者だった
・婚活パーティに既婚者が出席していてだまされて交際した
・貞操権侵害になるのはどのような場合?
・貞操権侵害の慰謝料の相場は?
・貞操権侵害で慰謝料請求したら,相手の妻から「不倫」と言われた

結婚を前提に交際していた相手が既婚者だったら,「貞操権侵害」を理由に相手に慰謝料請求できる可能性があります。

ただし必ず慰謝料が発生するとは限りません。貞操権侵害で慰謝料請求するには一定の条件を満たす必要があります。

また貞操権侵害で慰謝料請求をすると,相手の妻から「不倫」と言われて慰謝料請求を返されるリスクがあるので,注意が必要です。

以下では「貞操権」とは何か,貞操権侵害で慰謝料請求できるケースとできないケース,慰謝料の相場や請求方法,貞操権に関する判例など,東京・恵比寿の弁護士がわかりやすく解説していきます。

1.貞操権と貞操権侵害

そもそも貞操権とは何なのでしょうか?

貞操権は,性的な純潔を守る権利です。人間には「誰と性関係を持つか」選ぶ自由が認められており,誰かに性行為を強制させることはありません。

意に反して性行為をさせられると「貞操権侵害」となります。

たとえば暴力や脅迫によって強姦された場合,貞操権を侵害されたと言えます。また相手から「独身」と説明されて結婚を前提に交際し肉体関係を持った場合にも,相手が既婚と知っていたら性関係にはならなかったと考えられるので貞操権侵害と認められる可能性があります。

貞操権を侵害されると,人は大きな精神的苦痛を受けるので相手(加害者)に慰謝料を請求できます。

以上のような理由により,既婚者による「独身」という説明を信じ,結婚を前提に肉体関係になったら,貞操権侵害を理由として慰謝料請求できる可能性があるのです。

2.不貞と貞操権侵害の違い

世間一般では「不貞」と「貞操権侵害」が混同されている場合があります。

確かにどちらも「貞操」にかかわる問題です。しかし不貞と貞操権侵害は,状況がまったく異なります。

不貞は,配偶者のある人が配偶者以外の人と肉体関係を持つことです。結婚をすると配偶者に対する「貞操義務」を負います。貞操義務とは,配偶者以外の人と肉体関係を持ってはいけない義務です。これに違反して配偶者以外の人と肉体関係を持ってしまうと「貞操義務違反」となり「不貞」が成立します。

一方,貞操権侵害は,自分の性的な意思決定を侵害されて望まない性行為をさせられることです。貞操権侵害が成立するのは「相手が既婚」と知らなかった場合であり,不貞にはなりません。独身で既婚者に騙された場合には,不貞ではなく貞操権侵害が問題となります。

なお貞操権侵害行為があったとき,騙した男性側は妻への貞操義務に反していることになるので「不貞」が成立します。

3.貞操権侵害で慰謝料請求するための条件

既婚者にだまされた場合でも,必ず貞操権侵害として慰謝料請求できるとは限りません。慰謝料が認められるには以下のような条件を満たす必要があります。

3-1.相手が既婚者

貞操権侵害と評価されるには,相手が既婚者であることが前提です。相手に婚姻していない「彼女」がいて二股かけられていただけでは,貞操権侵害となりません。

3-2.肉体関係を持っていた

貞操権侵害が成立するには,相手と「肉体関係」があったことが必要です。そもそも貞操権とは性関係を持つかどうかの意思決定に関する自由なので,性関係がなかったら侵害されたと言えないからです。結婚を前提に交際していても,プラトニックな関係で肉体関係を持っていなかったら貞操権侵害とは言えません。

3-3.結婚を前提に交際していた

貞操権侵害と言えるためには,一般に結婚を前提に交際していたことが必要です。結婚の話しを全くしておらず,単なる彼氏彼女として恋愛していただけであれば貞操権侵害になりません。

ただし正式に「婚約」していたことまでは不要で,「結婚しよう」と話していた程度でも慰謝料は発生します。

3-4.相手の嘘を信じてもやむを得ない状況があった

貞操権侵害と言えるためには,被害者が加害者を信じてもやむを得ない状況があったことが必要です。たとえば加害者の年齢が高く被害者が10代や20代前半などの若年なケース,騙された女性側に軽度な知的障害があって判断能力が低いケース,相手が言葉巧みに女性をだましたケース,男性側から積極的に肉体関係を誘ったケースなどでは貞操権侵害と認められやすくなります。

4.貞操権侵害で慰謝料請求できる典型的なケース

以下のような場合には,貞操権侵害にもとづいて慰謝料請求できる可能性が高くなります。

・結婚相談所で紹介された相手と肉体関係を持ったら,既婚者だった
・婚活アプリや婚活パーティで知り合った相手と結婚を前提に交際していたら,実は妻がいた
・女性側が10代で世間を知らないのにつけ込んで,男性側が言葉巧みに「結婚しよう」と誘って肉体関係となった

5.貞操権侵害で慰謝料請求できないケース

以下のようなケースでは,貞操権侵害を理由とした慰謝料請求が認められにくくなります。

・合コンで知り合った相手と結婚の話をしないまま肉体関係をもった
結婚を前提にしていない場合,貞操権侵害になりません。

・女性の年齢が高い
女性側の年齢が高いと騙されないだけの判断能力を求められるので,貞操権侵害は認められにくくなります。

・相手が既婚であると,うすうす気づいていた
相手が既婚であると気づいていたら,だまされたと言いがたいので貞操権侵害と評価されにくいでしょう。
ただし相手から「妻とは夫婦関係が破綻していて,近々離婚する。そうしたら結婚しよう」などと言われていて夫婦関係が破綻していると信じていた場合,貞操権侵害と評価される可能性があります。

・特に結婚の話はしていない,女性側が「結婚してくれる」と思い込んだ
結婚を前提にしていなければ,基本的に貞操権侵害になりません。

・女性側から肉体関係を誘った
女性側から積極的に肉体関係を望み,男性を誘った場合には貞操権侵害と認められない可能性が高くなります。

6.貞操権侵害の慰謝料の相場

貞操権侵害が認められたらどのくらいの慰謝料が支払われるのでしょうか?

6-1.貞操権侵害の一般的な慰謝料の相場

貞操権侵害の慰謝料の相場は30~300万円程度です。

6-2.慰謝料が高額になるケース

以下のような要素があると,貞操権侵害の慰謝料が高額になります。

肉体関係を持った回数が多い

交際中,肉体関係を持った回数が多ければ慰謝料は高額になりやすいです。

交際期間が長い

交際期間が長い方が高額な慰謝料が認められやすいです。

女性の年齢が低い

女性の年齢が10代など低い場合,男性側が女性の判断能力の低いことにつけこんだと言えるので慰謝料が高額になりやすいです。

女性側が妊娠,中絶した

肉体関係を持つと,女性が妊娠・中絶することも珍しくありません。すると女性側が大きな精神的苦痛を受けるので,慰謝料は高額になります。

男性側が積極的に肉体関係を誘った

交際に至る過程において,男性側が積極的に肉体関係を誘った場合には慰謝料が高額になります。女性がしぶっているのに「結婚するから大丈夫」などと言葉をかけてその気にさせた場合などです。

半ば無理矢理肉体関係を持った

女性側が嫌がっているのに男性側が無理矢理誘って肉体関係になったら慰謝料が高額になりやすいです。

男性側の言動が巧妙・悪質

交際中,男性が言葉巧みに女性をだまし,肉体関係を継続し続けた場合には慰謝料が高額になる可能性があります。また女性側にお金を出させるなど悪質な場合にも慰謝料は高くなりやすいです。

別れる際の対応が不誠実

既婚者が独身と偽って交際していても,いずれはバレるものです。騙されていた女性が気づくケース,交際が男性の妻にバレてトラブルになる例もありますし,女性が妊娠したことをきっかけに別れるケースも少なくありません。別れる際,男性側が誠実に対応せず逃げようとした場合などには慰謝料が高額になります。

6-3.慰謝料が低額になるケース

以下のようなケースでは,慰謝料は比較的低額になります。

・交際期間が短い
・肉体関係を持った回数が少ない
・女性の年齢が比較的高い,判断能力がある
・肉体関係については女性も乗り気であった
・別れる際,男性が謝罪し慰謝料を提示するなど,誠実に対応していた

7.貞操権侵害で慰謝料請求が認められた裁判例

以下では貞操権侵害で慰謝料が認められた裁判例をいくつかご紹介します。

7-1.300万円の慰謝料が認められた事例

東京地裁平成8年6月7日

結婚仲介会社を通じて結婚を希望する女性と知り合い,継続的に性関係をもっていた事例です。男性は女性から結婚を迫られると「条件が整っていない」と誤魔化していました。
女性は男性を完全に信用し子どもを妊娠したため,中絶手術を余儀なくされました。
裁判所は男性に300万円の支払い命令を下しました。

7-2.300万円の慰謝料が認められた事例

東京地裁平成26年10月29日

既婚者であることを隠して女性と継続的に肉体関係を持ち,女性が未婚のまま出産した事例です。このケースでは女性が「別れたい」と言っても男性が聞き入れず,男性の妻子の存在が発覚しても男性側が誠実に対応しませんでした。女性は男性側へ1000万円の慰謝料を求めましたが,裁判所は男性側へ,慰謝料として300万円を支払うよう判決を下しました。

7-3.60万円の慰謝料が認められた事例

東京地裁平成26年 8月 7日

妻子がいるのに独身と偽って女性と交際し,妊娠・中絶させた事例です。男性は,妻子がいることを隠すために虚偽の説明やごまかしを続け,避妊もせずに性行為を行っていました。

女性は男性に慰謝料として約570万円の支払いを請求しましたが,裁判所は慰謝料60万円と中絶費用10万円,弁護士費用7万円の計77万円を損害として認め,男性に支払い命令を下しました。

以上のように貞操権侵害を理由として慰謝料請求したとき,裁判でも慰謝料の支払が認められている事例がたくさんあります。「騙されたのだから仕方がない」などと諦める必要はありませんし,騙されたことを恥ずかしく思う必要もありません。

8.貞操権侵害で慰謝料請求するための証拠

貞操権侵害を受けて慰謝料請求をしたいときには,証拠が必要です。

証拠がないのに慰謝料を請求すると,相手から「独身とは言っていなかった」「女性の方から性関係を誘ってきた」「結婚の話はしていなかった」などいろいろな弁解をされる可能性が高いからです。

貞操権侵害の証拠としては,「相手が独身と説明していた証拠」「肉体関係を持っていた証拠」「結婚の話をしていた証拠」が必要です。それぞれについて,以下のようなものを集めましょう。

8-1.相手が独身と説明していた証拠

・相手が独身と説明していることがわかるLINEのメッセージやメール,音声記録
・結婚相談所から渡された相手についてのデータ,資料
・婚活アプリや婚活パーティで知り合った際の記録やメッセージのやり取りなど

8-2.肉体関係を持っていた証拠

・利用したホテルの明細書
・一緒に旅行に行ったときの明細書
・LINEのメッセージやメールなど
・画像や動画
・妊娠・中絶した際の診断書やエコー写真
・産婦人科の領収証

8-3.結婚の話をしていた証拠

・相手が「結婚しよう」と書いているLINEのメッセージやメールなど
・結婚相談所や婚活アプリの記録ややり取り
・結婚式場の下見に行った際の予約票や資料など
・親に紹介した場合,親の陳述書など

上記のような資料をなるべくたくさん集めましょう。証拠の集め方が分からない場合には弁護士がアドバイスしますので,ご相談下さい。

9.貞操権侵害の慰謝料請求権の時効について

貞操権侵害を受けたとき,精神的なショックが強くてすぐには慰謝料請求に踏み切れない方もおられます。

その場合,慰謝料請求権の時効に注意が必要です。貞操権侵害は1種の不法行為なので,不法行為にもとづく損害賠償請求権の時効が適用されるからです。不法行為にもとづく損害賠償請求権は「損害発生と加害者を知ってから3年間」で時効消滅します。

つまり「相手に騙されたこと(相手が既婚である事実)」と「相手が誰であるか」を知ってから3年が経過すると,貞操権侵害にもとづく慰謝料を請求できなくなってしまいます。

実際には証拠集めなどの準備も必要なので,3年後にはじめて慰謝料請求に取りかかっても間に合わない可能性が高くなります。相手から騙されていたと気づいたら,少々辛くても早めに慰謝料請求に取りかかりましょう。

なお損害発生と加害者について知らないままであっても,不法行為時(だまされて肉体関係をもっていたとき)から20年が経てば「除斥期間」によって慰謝料を請求できなくなります。

お一人で対応するのが辛い方もおられると思いますが,弁護士が精神面でもサポートできますので,勇気を出してご相談下さい。

10.貞操権侵害で慰謝料請求をする手順

以下では,実際に貞操権侵害で慰謝料請求を進める手順をご紹介していきます。

10-1.相手に電話やメールで慰謝料の請求をする

貞操権侵害を受けたら,まずは相手と普段やり取りしている電話やメールなどで慰謝料請求をしましょう。相手が誠実に対応する人であれば,そのまま話し合いを進めて慰謝料を払ってもらえる可能性があります。

10-2.内容証明郵便で慰謝料の請求書を送る

相手が不誠実で,電話やメールなどの請求に対応しない場合には,内容証明郵便を使って慰謝料の請求書を送ります。

内容証明郵便は,郵便局が文書の内容を証明してくれる郵便です。特殊な書式になっており簡易書留のように相手に手渡しされるので,受け取った相手に強いプレッシャーをかけることができます。

相手の自宅や会社など,確実に受け取らせることのできる場所へ送りましょう。

慰謝料請求の内容証明郵便の書き方

貞操権侵害の請求書には,以下の内容を記載する必要があります。

・「請求書」などのタイトル
・作成日付
・相手の住所,氏名
・請求者の住所,記名押印,連絡先
・相手が既婚者と偽り,結婚を前提に肉体関係をもたされたこと
・慰謝料を請求すること
・慰謝料の金額や支払い期限
・支払方法(振込先の口座)
・期限内に入金がない場合,訴訟を起こす可能性があること

内容証明郵便の発送方法

内容証明郵便を発送する場合,郵便局に持参して発送してもらう方法とネットから電子内容証明郵便サービスを使って発送する方法があります。郵便局に持参して発送する場合,全く同じ文書を3部用意して印鑑と共に持参します。内容証明郵便の取扱いのない郵便局もあるので,事前に電話して確認しておくことをお勧めします。

ただ郵便局から発送する場合,内容証明郵便を取り扱っている支店でしか発送できませんし,営業時間内にまったく同じ文書を3通持参せねばならず,1枚に記入できる文字数行数なども指定されていて面倒です。

普段働いていて忙しい方などは,24時間利用できる電子内容証明郵便を使った方が便利でしょう。電子内容証明なら,ネットから発送できますし文字数行数の制限もありません。

内容証明の書式

以下で内容証明郵便の書式を示しますので,参考にしてみてください。

請求書

2019年〇月〇日

〒〇〇〇―〇〇〇〇
東京都中央区〇丁目〇番〇号
○○〇〇 様

〒〇〇〇―〇〇〇〇 神奈川県〇〇市〇丁目〇番〇号
電話 090―〇〇〇〇―〇〇〇〇
〇〇〇〇  ○印

前略

貴殿は既婚であるにもかかわらず婚活アプリに登録して私と知り合い,独身と偽って2019年〇月から同年〇月まで私と交際しました。交際中,貴殿は私に「結婚しよう」と言って肉体関係をもちかけ,当初同年〇月〇日に肉体関係を持って以後約〇回,性交渉を継続的に行いました。同年〇月〇日,私は貴殿が既婚と知り別れを告げましたが,貴殿は謝罪もせずにその後も復縁を求めてくるなどしており,私は多大な精神的苦痛を被っています。

以上の貴殿の行為は貞操権侵害の不法行為に該当します(民法第709条)。つきましては,私は貴殿に対し,本書をもって慰謝料として金300万円を請求いたします。本書面到達後1週間以内に,以下に記載する振込先に入金する方法にて上記金額をお支払いください。

なお上記期間内にお支払いも何らのご連絡も頂けない場合,やむを得ず訴訟などの厳格な対応を検討せざるを得ませんので,お含み頂きたく存じます。

草々

【振込先の口座】
〇〇銀行 〇〇支店
普通預金
口座番号 〇〇〇〇〇〇〇
口座名義人 〇〇〇〇(カナ)

10-3.話し合いをする

内容証明郵便で請求書を送ったら,通常は相手から何らかのアクションがあります。連絡を受けたら慰謝料の金額や支払方法について,交渉を開始しましょう。

話し合いの方法は,書面でもメールでも電話でもかまいません。ただ記録を残しておいた方が後でトラブルになりにくいので,できればメールか書面でやり取りした方が良いでしょう。

10-4.合意書を作成する

慰謝料の金額と支払方法について合意できたら,合意書を作成しましょう。合意書には,慰謝料の金額と支払方法を明記するとともに,その他にはお互いに債権債務が一切残らないことを記載します。

また慰謝料を分割払いにする場合には,合意書を「公正証書」にすることをお勧めします。

公正証書は,公証役場で公証人に作成してもらう公文書です。公正証書に「強制執行認諾条項」をつけておけば,相手が後に不払いを起こした場合にもすぐに給料などを差し押さえられるので,不払いのリスクを効果的に抑えられます。

自分たちで作成した合意書だけでは,相手が支払わなくなったときにあらためて裁判をしないといけないので,対応として不十分です。

10-5.支払いを受ける

慰謝料について合意書を作成したら,必ず入金期限までに実際に支払われたか確認しましょう。約束をしても守らない人がいるので,入金チェックは非常に重要です。支払いがなかったらすぐに督促をして入金させる必要があります。

10-6.裁判を起こす

相手と話し合いをしても慰謝料の支払いに応じない場合や金額・支払方法について合意できない場合には,裁判(慰謝料請求訴訟)によって解決する必要があります。

裁判では,貞操権侵害にもとづく慰謝料が発生している根拠について,法的な主張を行い証拠によって立証する必要があります。素人の方がお一人で裁判を進めるのは難しいケースが多いので,弁護士に依頼しましょう。

当事務所でも男女トラブルの解決に力を入れて取り組んでいますので,お困りでしたらご相談下さい。

11.貞操権侵害で慰謝料請求する際の注意点

貞操権侵害で慰謝料請求をするときには,重要な注意点があります。

11-1.相手の妻から「不貞」と言われるおそれがある

貞操権侵害で慰謝料を請求すると,相手の妻から「不貞」と言われてこちらが慰謝料請求される危険があります。

貞操権侵害は,外形的に見ると「配偶者のある男性が未婚の女性と肉体関係を持っている」状態ですから,男性の妻の立場としては「不倫」と評価しても無理はありません。女性が「既婚とは知らなかった」などと言っても「言い訳」としか受け止めないでしょう。

不貞は違法行為ですから,相手の妻は交際相手の女性に慰謝料請求してきます。

貞操権侵害された被害者としては,貞操権侵害を受けて精神的苦痛を受けているところに,相手の妻からもさらに慰謝料請求をされ,大変困難な状態に陥ってしまいます。

相手の妻から不貞を理由に慰謝料請求をされた場合でも,既婚者であることを知らず,そのことにつき過失もない場合は,慰謝料請求は認められません。

したがって,相手の妻から不貞の慰謝料請求をされた場合,こちらは,男性が既婚であることを知らず,かつ,既婚であることを知らないことに過失もないことを証明することになります。

もちろん,既婚であることを知った後も,既婚者である男性と性交渉を続けていた場合,婚姻関係が破綻していた(ないしはそう認識していた)という事情がない限り,不貞の慰謝料請求を免れることは難しいでしょう。

いずれにせよ,貞操権侵害で慰謝料請求をする際には,相手の妻に知られないことに越したことはありません。

以下で相手の妻に知られないように考えられる工夫をお伝えします。

11-2.なるべくメールやLINE,電話などで請求する

1つ目は,いきなり内容証明郵便を使わずなるべくメールやLINEのメッセージ,電話などでやり取りして穏便に慰謝料を払わせることです。これらの連絡方法であれば,相手が妻にスマホなどを見られない限り貞操権侵害にまつわるトラブルを知られることはありません。

11-3.内容証明郵便を送る際には本人限定受取郵便を使う

電話やメールによっては相手が対応しないので,内容証明郵便を利用する場合「本人限定受取郵便」を利用しましょう。本人限定受取郵便とは,宛名の本人しか受け取ることができない郵便です。これを使えば相手の妻が受け取って開封してしまうことを防げます。

発送時にオプションとしてつけることができるので,必ず利用しましょう。

11-4.会社に送る

内容証明郵便を相手の会社に送る方法もあります。会社に送れば妻が発見することはまずありません。ただし社内の他の人が開封しないよう,必ず「親展」「本人以外開封不可」などと書いておきましょう。

11-5.合意書を相手に渡さない,渡すときにはクギを刺しておく

慰謝料の支払についての話し合いが成立して合意書を作成するときにも注意が必要です。相手が合意書を自宅で適当に保管したことにより,妻が発見してしまう可能性があるからです。

この危険を避けるには,相手に合意書を渡さないことが考えられます。ただし相手もトラブルを避けるために1通ほしいと希望する可能性が高いので,その場合には,必ず適切な方法で保管することを求め,絶対に妻に見つからないように注意することを約束させましょう。

12.貞操権侵害の慰謝料請求を弁護士に依頼するメリット

貞操権侵害を受けたとき,慰謝料請求を検討されているなら弁護士に相談しましょう。以下で弁護士に依頼するメリットをお伝えします。

12-1.貞操権侵害が成立する場合かどうかを的確に判断できる

交際相手に騙されたとき,必ずしもすべてのケースで貞操権侵害が成立するとは限りません。交際の経緯や双方の年齢,状況からして慰謝料請求できない可能性もあります。

弁護士に相談すると,貞操権侵害が成立する場合かどうかを法的な観点から適切に判断できます。慰謝料が発生しない場合には無駄な労力をかけずに済みますし,発生する場合には自分の権利を適切に把握できます。

12-2.証拠集めについてのアドバイスを受けられる

貞操権侵害で慰謝料請求するには証拠集めが重要ですが,自分ではどういったものが有効な証拠となるのか分からないケースもあるでしょう。LINEのメッセージやメールがあっても,量が多すぎてどの部分を取り出せば良いのかわからない場合もあります。

そのようなとき,弁護士が資料を確認し証拠として使えるものと使えないものに分別します。また手元に証拠が揃っていない場合,どういったものを集めるのが良いかアドバイスをします。

12-3.内容証明郵便の作成,慰謝料請求の交渉の代理を任せられる

貞操権侵害の被害者は,すでに大きな精神的苦痛を被っており,相手との慰謝料請求に関する交渉も自分ではやりたくない方が多数おられます。内容証明郵便の作成や発送の方法がわからなかったり負担に感じたりする方もいるでしょう。

弁護士に慰謝料請求を任せたら,弁護士が内容証明郵便の作成,発送,その後の相手との交渉などすべて行います。相手からの連絡も弁護士宛に届くので,直接やり取りする必要がありません。慰謝料請求にかかる労力が削減され,精神的にも楽に請求を進められます。

12-4.裁判になっても有利に展開できる

慰謝料について相手と話し合いをしても,合意できずに裁判をせざるを得ないケースがあります。裁判を一人で進めるのはとても大変なので,多くの方は「裁判になるくらいなら不利な条件でも和解するしかない」「相手が支払わないならあきらめるしかない」と考えます。

しかし本当は,裁判をすれば数百万円の慰謝料を払わせられる可能性もあるのです。

交渉を弁護士に任せていたら,交渉が決裂したときにスムーズに裁判を起こして正当な金額の慰謝料を払わせることが可能です。泣き寝入りする必要がなくなることも弁護士依頼の大きなメリットと言えます。

12-5.万一妻にばれて慰謝料請求されたときにも対応可能

貞操権侵害で慰謝料請求をすると,相手の妻にバレて慰謝料を不貞慰謝料を請求されるリスクがつきものです。自分で対応していると,いつの間にか「不貞相手」に仕立て上げられて高額な慰謝料を支払わせられる可能性もあります。

弁護士が代理人になっていたら,相手の妻に対し「こちらは相手が既婚であると信じており,騙された立場です」と説得的に説明して納得させられる可能性が高くなり,相手からの慰謝料請求を抑え込むことが可能です。

また弁護士が当初からついていたら,そもそも相手の妻にバレにくいように慎重に対応するので,バレて慰謝料請求されるリスクそのものを抑えられます。

12-6.精神的に楽になる

貞操権侵害を受けた方は,精神的に大きく傷ついているものです。妊娠中絶を余儀なくされてうつ状態となってしまわれる方もいますし「思い出したくもない」という方が大半でしょう。誰にも相談できず抱え込んでいるケースが多々あります。

そんなとき,弁護士に相談をしてすべてを打ち明け,弁護士に気持ちを代弁してもらうことで,気持ちがずいぶんと楽になるものです。また自分の権利を認識して慰謝料請求などの対応を進めることにより,少しずつ強い気持ちを取り戻して回復していけるケースも少なくありません。

弁護士に相談をすることで精神的に楽になる点も無視できないメリットとなるでしょう。

 

東京・恵比寿に位置する当事務所では,貞操権侵害を始めとした種々の男女トラブルの解決に向けて,真摯な取り組みを進めております。既婚者に騙されてくやしい思いを抱えておられるなら,泣き寝入りをせずに,ご相談下さい。

 

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