他人のイラストをホームページに使用した著作権侵害に対して,通常より高額の損害賠償が認められた事例
事案の概要
Xさんは,建築物や建築物群のイラストレーターで,自分のホームページにも自作のイラストを掲載していました。ふとしたきっかけで,このイラストが,全国各地の多数の中小工務店のホームページに使用されていることが分かりました。悪質なホームページ制作業者の仕業です。Xさんは,侵害を排除するために当事務所を訪問されました。
解決までの流れ
当事務所は,まず,Xさんのイラストを使用しているすべての工務店に照会状を送り,損害賠償請求をしないことを条件に,ホームページ制作業者の社名,制作代金等の情報を収集しました。
こうして,侵害の中核をなすY社を特定しました。次に,Y社を相手取り,損害賠償請求訴訟を提起しました。Y社が法外に高額な制作代金を得ていたことから,Y社に対し,使用料相当額ではなく,得た利益(侵害者利益)を賠償すべきであると主張しました。
裁判所は,和解を勧めました。その内容は,Y社は,Y社が得た利益に近い金額を支払うという内容でした。裁判所はY社を強く説得し,和解がまとまりました。
コメント
写真や絵画・イラストの著作権侵害の場合,一般的には,いわゆるフォトライブラリーの販売価格を参考にして損害賠償額が定められます。本件では,侵害者が法外な利益を得ていたことから,裁判所は通常通りの賠償額では足りないと考えたのでしょう。和解という手段により,通常より高額の賠償を認めさせたと考えられます。