依頼者が財産分与として約3000万円を獲得した事例
事案の概要
Aさんは音楽家のBさんと結婚しました。Aさんは会社勤めをする傍ら、音楽活動をするBさんのマネージャーとしてBさんの活動を支えていました。
ところが、Bさんは突然Aさんの離婚届を提出してきました。Aさんは、離婚無効の調停を起こしましたが不調に終わり、結局離婚が認められてしまいました。
離婚に際し、財産分与がされなかったことから、Aさんは当事務所に相談に来られました。
解決までの流れ
Aさんが事務所に来られた時、離婚後2年近く経っていたため財産分与について時効が完成しそうでした。そのため、当事務所の弁護士はすぐに財産分与調停の申立手続を行いました。
AさんとBさんの、財産分与の対象となる財産(共有財産)は約1億円でした。
一般的には、共有財産のうち、2分の1がAさんの持分として認められます。ただし、本件では①AさんとBさんの同居期間が極めて短かったこと、②共有財産のほとんどはBさんの音楽活動で得た金銭だったこと、③BさんがAさんが経費を横領していたと主張したこと等から、Aさんには財産分与の請求が認められないか、請求が認められたとしても僅かな金額にとどまるおそれがありました。
弁護士は①AさんとBさんの間に夫婦の実態はあったこと、②Aさんはマネージャーとして適切に金銭を管理していたこと、③その貢献度が大きかったこと等を粘り強く訴え続けました。
そうしたところ、共有財産の3割にあたる約3000万円をBさんがAさんに支払う合意が成立しました。
コメント
まず、財産分与請求には時効がありますので、財産分与をする際には離婚と同時か、離婚後速やかに行う必要があります。
また、基本的には共有財産の2分の1が財産分与として認められますが、配偶者が音楽家であるなどの場合は当該共有財産がその配偶者の才覚によって形成された部分が大きいとして、その割合が2分の1ではない場合が多いです。
そうした時、財産分与の請求者はいかに共有財産への寄与があったか等を主張する必要があります。