外国人向け日本語研修を営む会社の事業の一部譲渡契約において、譲渡会社の商号の続用と譲受会社の商号使用禁止を合意した事例
事案の概要
留学生向け日本語学校の経営、日本語教材の出版、外国人向け日本語教室の運営など、外国人向け日本語教育・研修事業を営んでいるA社は、B社に対し、留学生向け日本語学校を(一部)譲渡することになりました。
A社としては、留学生向け学校事業は手放すが、他の事業は継続すること、現商号(「X株式会社」)は他の事業に不可欠であるから手放さないこと、逆にB社の同一商号使用を禁止することが関心事でした。
解決までの流れ
当事務所では、A社の関心事が契約条項に反映されるように、次のような条項を提案し、B社の了解を得ることができました。
第●条 Bは、本件事業を運営するにあたりXの文字を含む名称を使用してはならない。
第●条 Bは、AがXの名称を使用して本件事業以外の事業を行うことを、直接的又は間接的に妨げてはならない。
コメント
事業の全部譲渡契約では、譲渡会社が廃業することになるので、競業禁止条項があれば契約後の競業関係の紛争は避けられます。
しかし、一部譲渡の場合は、譲渡会社の商号の続用の有無、対象外事業の継続、対象事業についての競業禁止など、当事会社の利害を調整する必要が生じます。