婚姻費用分担額の算定において、義務者の収入の減少を考慮して年間収入が認定された事例

事案の概要

Aさん(夫)とBさん(妻)は夫婦仲が悪化し、Aさんが家を出る形で別居するに至りました。Aさんは、当事務所に依頼して離婚を求める調停を申立てました。他方、Bさんは、婚姻費用の分担を求める調停を申立てました。

Aさんは会社のオーナー経営者でしたが、コロナ禍の影響で会社の経営状態が悪化したため、年度途中でAさんの役員報酬を4割カットしていました。Aさんは、カット後の報酬額に基づく収入を婚姻費用分担額の算定基礎にすることを主張しました。

解決までの流れ

婚姻費用分担事件は調停から審判に移行しました。
裁判所は、カット前の収入とカット後の収入の双方の中間を収入と認定しました。会社の業績不振は認められるから、カット前の収入を収入認定の基礎とすることは妥当ではない。かといって、業績はまた回復するかもしれないし、Aさんは自分の報酬を自分で決めることができるため、カット後の収入だけを収入認定の基礎とすることも妥当ではないとして、カット前の収入とカット後の収入が含まれる前年度の年間収入を、婚姻費用分担額の算定基礎として収入認定をしました。

コメント

中小会社のオーナー経営者の収入であっても、役員報酬額が年間収入となります。
しかし、会社の業績は景気の影響を受けて大きく変動することがあります。報酬額をカットした場合に、カット前の報酬額を基準とするか、カット後の報酬を基準とするかは一つの論点です。

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